がん治療
“免疫”とはわたしたちが持っている異物・非自己細胞をみつけて排除する生体の防衛機能です。がんを発症されている方の体内は健康な方に比べると免疫環境が悪く、免疫細胞が活動しにくい状態になっています。つまり、このような体内環境では免疫細胞を十分に増やすことも活性化することも難しい状態といえます。そこで、患者様の免疫細胞を一旦体外へ取り出し、細胞にとってベストな環境で数と質を最大限まで高め、その免疫細胞をもう一度体内に戻し、がん細胞を排除する力を取り戻すことが、“免疫細胞療法”です。自己由来の細胞ですから抗がん剤のようなひどい副作用はなく、からだにやさしい治療法です。
当院では、独自のNK細胞を中心としたリンパ球培養技術と樹状細胞培養技術に支えられた副作用の少ないがん治療を柱として、他の手法を併用したり、他の医療施設と連携して、患者様お一人おひとりに最適ながん治療をめざします。当院の方針は、患者様にはまず手術・放射線治療・抗がん剤治療などの標準的ながん治療を主治医の下でお受けいただき、そのうえで当院で免疫細胞療法・温熱療法・軽度高気圧酸素療法・高濃度ビタミンC点滴療法などのからだに負担の少ない治療を併用することです。さらに、患者様の状態に応じて、強度変調放射線治療(IMRT)、陽子線治療、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)、血管内治療、ラジオ波治療などの専門施設と専門家をご紹介します。
- 自然免疫を強化してがん細胞を傷害するリンパ球療法
- 獲得免疫を誘導するための樹状細胞療法
- 腹水・胸水から準備した腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法
リンパ球療法は、患者自身のNK細胞、ガンマデルタＴ細胞、アルファベータＴ細胞、NKT細胞などを増殖活性化して点滴投与する治療です。いわば、これらのリンパ球は、指名手配書がなくても悪人を取り締まってくれるお巡りさんといえます。樹状細胞療法は、患者のがんに出ているがん抗原についてTリンパ球教育して、がんをより強力に傷害する抗原特異的な細胞傷害性Ｔリンパ球(CTL)を誘導する治療です。たとえて言えば、樹状細胞は、捜査本部で指名手配書を捜査員に教育する本部長といえます。腫瘍浸潤リンパ球療法は、がんを追いかけて腹水や胸水に入ってきたCTLを再活性化して自身の体に戻す治療です。いわば、すでに指名手配書を教育された敏腕捜査官の再活性化と言えます。
当院では、これらの細胞を使い分けて最適な治療をおこないます。
